うちは貧乏だ。家は古い。
トイレもお風呂も、鍵がかからない。

当然、私がお風呂に入っていると、けんちゃんがドアを開ける。
来ると分かっているから、すぐに「あっちに行って!」と強く言う。
一度言えば、その日は開けてこない。
私の裸を見たい、というのもあっただろうけど、確認行為でもありそう。
こたつの件とは違い、これは障害的に仕方がない面もある、かも。
仕方がないと思わないとやってられないよ…

「あんたは言い方がきつい。」とよく母は言う。
私も、そう思う。毎回、軽蔑した目でけんちゃんに言いながら思う。

帰省している時は、毎回。

鍵のかかるお風呂がほしい。
ゆっくり足を伸ばして入れる、キレイなお風呂がいいな。

そう思いながら、苦笑する。
「私なんかが、そんな生活を送れるわけがないじゃんね…
こんなにきつい性格の私が、上手く生きて行けるはずないよ。」

毎回、思う。

自慰

重度の知的障害を持つ、自閉症のけんちゃん。
施設を利用するようになってからは、主に週末帰省となりました。

その頃から、けんちゃんは毎日自慰をするようになりました。
初めて目の当たりにした時は、とにかく衝撃的で気持ち悪くなり、
胸がつぶれる思いで急いでその場から立ち去りました。

私はとにかく吐き気がするので、自慰をしそうな雰囲気が分かるとすぐに
けんちゃんのいる部屋から急いで立ち去ります。

ある時、母もその場にいて私は立ち去るに立ち去れなかった時、
母は一言、言いました。「施設に行くようになって変なこと覚えたのよ」と。


今の私なら…色々と思うことがあります。
けんちゃんは、一生恋愛も、結婚も、セックスもすることはない。
そのことは、人が人として生きる上でどういった意味をもつのだろうか。

しかし当時の私は、けんちゃんの行動に傷付くことが多かったのでした。
同時に、けんちゃん、男性全般への嫌悪感を持つことになります。


…誰のせいでもないのです。
時間はかかりますが、気持ちに折り合いをつけることはできます。
けんちゃんも私も、結局は自分の人生を生き抜くしかなく、しかしそれは、
誰に同情される覚えもなく、自分にしかできないことなのです。

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