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「なんで、私はあんなふうに自分に酔っている人を好きになったのかな…」
と、暫くは毎日のように、考えていました。
その人に未練があるわけではなく、私はあっさり感情がなくなるので、
その人に、と言うよりも、その人を好きだった自分に関心がありました。

元々、たばこを吸う人は好きじゃない。でも、彼は喫煙者だった。
車が好きで、毎日洗車しているような人。私は車は興味ないし。
仕事ができる、と思いこんでいて、いつの間に彼を王子様のように思い、
彼はいつも、「俺はそんな性格じゃない。」と言っていたのを聞きもせず、
彼自身の性格を出させなかった私自身にも問題があるのではないか?
彼を追い詰めて、泣かせて、それでも私の思うようになろうと努力した、
彼を嘲笑する権利は私には、ないはずだ。

彼の中に、私は一体何を見ていたのだろう…


…ある日、気付いてしまったのです。
自分に酔っている、ということは、私自身にも言えること】だと。

自閉症のけんちゃんが、私のきょうだいで。
幼いころから、「かなは、かわいそうかわいそう」と、周りに言われ。
それに反発していたのに「本当は私、かわいそうなの?」と思い。
いじめられ、陰口を言われ、憐れまれ、嘲笑われて、育った私。

私は悪くない。境遇が悪いだけなの。そう思っていた。
でもさ、奨学生の選考面接なんかでは、「自閉症のきょうだいがいて…」
など、都合のよいようにけんちゃんのことを使ってきたじゃない。

何なの、私。一体、何様!?

何か、今回は自己卑下や自己嫌悪とは違う…怒りに似た気持ち。
自分に酔っているのは、私じゃん。やだ、気分悪い。


その職場を辞めてしまった私は、彼に会うことは二度とありません。
もう、一生会うことはないと思います。連絡先も消去してあるし。
でも、彼が今、幸せであればいいな…と、たまに思い出すのです。
そう願えるということは、私が、今しっかり幸せだからです。
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勤務先の施設では、同年代のスタッフ・ご利用者は殆どいませんでした。
私は、皆にかわいがってもらいました。

「かなちゃんもいつか、お嫁さんになるんだねぇ。」
そう言われると、何とも言えない笑顔で返してしまいます。
スタッフ・ご利用者問わずそのように言われるということは、
どこからどう見ても社会人半人前だったのでしょうね(苦笑)

与えられた仕事しかできずに、仕事している理由が分からない私、
傍目から見れば、腰かけ程度に仕事をしているとしか思われなかった…
と思ってしまいますが、仕事の評判はわりと良かったそうです。

勤務先の先輩で、頼りになる人がいました。
尊敬していたのか、淡い恋心か、いつの間にか二人で会うように。
「障害を持つ、きょうだいがいるの。」と自然に話していました。
そんなことは何の問題もない、とその場では言ってくれました。

ひと月に1度程度、二人で会うこと、それ位がちょうどよかった。
職場が一緒だったので、毎日姿は見ることができていたから。

しかし、いつもの「この人じゃない気がする。」の思いは強くなる一方。
二人で会った日も、表面的な会話しかできなくなっていました。

好きなのに。
いつも、別れた後に涙が出ます。寂しいからではありません。
彼の乗っていた、RX-7が暗闇に消えていくと、決まって涙が…

イツカ、コノヒトモ、ハナレテシマウ。ワカッテイル。イツモノコト。


「かなちゃん、聞いてくれ。」ある日、彼は言いました。
「かなちゃんのことが好きだ。でも、きょうだいのことは重いんだ。
好きだから、距離を置いて考えたいんだ。ごめんな。」

彼も、私と別れた後に、いつも切なくて泣いていたと知ったのは、
彼と完全に会わなくなって、しばらく経ってからでした。

彼のことを待っていた訳ではないけれど、特定の彼氏は作らず、
時々は彼のことを思い出してました。そんな中メールがありました。

「かなちゃんのことが好きだから、別れたい。(以下略)」
長々と綴られた彼の気持ち。それを読んだ途端、冷めました(笑)
自分に酔っているだけの人だということが露呈されたのです。

なーんだ…
自分かわいさゆえじゃん。この人も結局。
私が初めての彼女だったんだって。
私が遠くを見ているのが、いつも寂しかったんだって。

仕事ができるのも、私より10年近く前から勤めていれば当然。
尊敬していたと思った自分がばっかみたーい!!妙にすっきり。

こんな失恋もありましたが(笑)、まだ自分は誰かを好きになる、
好きになりたい、という気持ちが残っていたことが分かったので、
次に誰かを好きになった時には、好きになった自分を信じて、
そうすれば相手のことも信じることができるような気がしました。

そう思える人ができるまで、特定の人は作らないようにしよう…

10年近く昔の、お話です。

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